「患者さんから『ここを揉んで』と言われると、自分の治療方針があるのに断れません」
「治療後に『まだ痛い』と言われると、どうしていいかわからなくなります」
「患者さんの言いなりになってしまい、自分の理念通りに治療ができていません」
整骨院・鍼灸院を経営している先生から、このようなご相談をいただくことがあります。
私自身も開業当初は同じ悩みを抱えていました。
患者さんの要望にすべて応えようとして、自分の治療方針がブレてしまう。
その結果、治療効果も中途半端になり、リピート率も上がらない。
そんな悪循環に陥っていた時期がありました。
整骨院・鍼灸院経営者が知るべき「人間力」と治療院経営の安定
こんにちは、治療院成功塾を主宰しています作尾大介です。
・自分の仕事を全うする。
・自分の考えを発信する。
・自分のビジョンを持って行動する。
これを実践しようとすると、必ずと言っていいほど批判が飛んでくることがあります。
今で言うところの「炎上」や「アンチ」という言葉が、これに該当するかもしれません。
先に述べておきますが、私は聖人君子ではありません。
これまでに悪いことをしたこともたくさんありますし、人を傷つけたこともあります。
誤った判断によって人を不快にさせたこともあります。
いわゆる欠陥人間だと言っても、過言ではないでしょう。
しかし、そのような自分だからこそ、日々自分自身と向き合い、人間力を磨き続けることが大切だと考えています。
「治療院の理念や治療哲学と現実の矛盾を放置しない」決断力
2009年から2010年にかけて、トヨタ自動車は世界規模の大規模リコール問題に直面しました。
当時のトヨタは、「品質第一」「現地現物」といった理念を掲げ、世界最高水準の自動車メーカーとして評価されていました。
しかし現実には、急激な事業拡大と効率化の中で、現場の声が経営に届かず、品質よりも数字やスピードが優先されるという、大きな矛盾が生まれていました。
この矛盾に対し、当時社長であった 豊田章男 氏は「理念と現実のズレを放置しない」という一点で、明確な境界線を引きました。
自らが公の場に立ち、「これは私の責任です」と明言し、成長路線を見直し、品質最優先へと大きく舵を切る決断を下したのです。
この判断により、短期的には売上や株価への影響、世界中からの厳しい批判を受け、経営者としての立場を危うくするリスクさえ伴いました。
それでも豊田氏は、自分のポジションで「やらなければならないこと」を、会社・社員・顧客、そしてトヨタの未来すべてを考えたうえで決断しました。
その結果、トヨタは「量より質」へと立ち返り、長期的には信頼を取り戻し、再び世界トップクラスの自動車メーカーとしての地位を確立していくことになります。
治療院経営者として「患者さんを選ぶ」決断ができますか
治療院の経営者も、治療家も企業と同じく「理念と現実のズレを放置しない」決断が必要だと考えます。
時として、生産性が悪ければ人を切らなければならない。
任せるべき仕事を任せられないのであれば、仕事を外さなければならない。
あるいは、辞めてもらう決断をしなければならない場面も出てくるでしょう。
一時的に不利益を被った人からは、「あいつは最低な人間だ」と言われるかもしれません。
しかし、その決断が結果として会社を救い、発展させているのであれば、経営者としては優れた評価を受けることになります。
治療院経営においても、これは同じことが言えます。
・「ここを揉んで」と指示してくる患者さん。
・モラルや治療院のルールを守らず横柄な患者さん。
・予約を守らず、当日キャンセルを繰り返す患者さん。
このような患者さんに対して、先生はどのように対応していますか?
もし、すべての要望に応えようとして右往左往しているなら、それは自分の治療哲学がブレている証拠かもしれません。
治療院のリピート率向上に不可欠な「治療哲学」と「理念」
トヨタでも「品質第一」「現地現物」といった理念を掲げたように、
経営者として、治療家として、自身の治療院を10年以上運営していくためには、人間力を高め続ける必要があります。
そのためには、自分の治療哲学を持つこと、そして自院の理念を持つこと。
この2つが、自身と治療院の未来を明るいものにする羅針盤になります。
治療家にも自分の治療の考え方や、行動を決定する基準が必要です。
例えば、
・患者さんの根本改善を最優先にする
・自分が提案した治療プランに論拠や哲学を持つ
・患者さんの言いなりになる治療はしない
このような治療哲学があれば、「ここを揉んで」と言われても、
「それは必要ありません」
「根本から改善するために、私が提案する治療プランを試していただけませんか」
と自信を持って伝えられます。
患者さんを選ぶということは、決して冷たいことではありません。
むしろ、自分の理念に共感してくれる患者さんに対して、最高の治療を提供するための選択なのです。
治療院経営の安定は「理念に基づいた行動」から生まれる
「いいやつ」「悪いやつ」という概念は、非常に抽象的な言葉です。
その時々の状況によって、良い・悪いの評価は大きく変わります。
同じ行動でも、ある人からは「素晴らしい決断だ」と称賛され、別の人からは「冷酷だ」と批判されることもあります。
大切なのは、自分の理念に基づいて一貫した行動を取り続けることです。
アメリカの16代大統領である、リンカーンは、独立宣言の理念を守るために奴隷解放という決断をしました。
その結果、多くの批判を受けましたが、アメリカという国の根本的な矛盾を解消し、後世から「偉大な大統領」として評価されています。
治療院経営においても同じです。
目先の売上のために患者さんの言いなりになるのか。
それとも、自分の治療哲学を貫き、本当に良くなりたいと思っている患者さんに最高の治療を提供するのか。
この選択が、治療院の長期的な安定とリピート率を決定づけます。
まとめ:治療院経営者としての人間力を磨き続ける
一度立ち止まり、自分の理念を深く考えながら仕事をする。
自分自身の治療哲学を構築する。
そうした時間を、治療家と経営者は大切にすべきではないでしょうか。
私はそう考え、日々行動しています。経営者である限り、人間力を磨かなければならない。
患者さんからの要望に振り回されず、自分の理念と治療の考え方に基づいて決断する。
それができるようになったとき、治療院経営は本当の意味で安定し、リピート率も自然と向上していきます。
先生も、今日から自分の治療哲学と理念について、じっくり考えてみませんか?
最後までブログをご覧いただき、ありがとうございました。
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(監修 柔道整復師・鍼灸師 作尾大介)










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